『親しき仲にも礼儀あり』

父から学んだ人生の教訓と、社会人になって実感したこと

『親しき仲にも礼儀あり』の意味

「親しき仲にも礼儀あり」とは、どれほど親しい相手であっても、相手を尊重し、最低限の礼儀を忘れてはいけないという教えです。
家族・友人・同僚など、距離が近いほど“甘え”や“馴れ合い”が出やすいもの。だからこそ、小さな無礼がそのまま亀裂を生んでしまうことがあります。

「親しい=なんでも許される」ではありません。
むしろ、大切な相手だからこそ丁寧に接する姿勢が必要なんですよね。

この言葉を知ったきっかけ

私がこの言葉を知ったのは、18歳のとき。大学入学前でした。(遅い?…笑)

父が「これからはパソコンスキルが絶対必要だ」と言ってパソコンを買ってくれたのがきっかけです。当時は富士通やNECなど、日本ブランドのラップトップがズラッと並んでいた時代。スペックなんて何も分からない私は、機種選定を父に丸投げして購入を待っていました。

家に帰ると、父がEメールの設定をしてくれて、私の初めてのメールアドレスが完成しました。
そのとき父から言われたのが、

「父さんにメールを送ってみろ」

という一言でした。

ただ、私は父に素を出すことにどこか抵抗があり、普段から会話も少ない親子関係でした。
父は厳格な性格で、いわゆる亭主関白タイプ。
自分が正しいと思うものが「正」、自分がダメと言うものは「絶対ダメ」。
そんな父に従う生活を、大学進学で家を出る18歳まで続けていました。

その数日後、ようやく送った初メールの内容は……

メール送ったで

短い、ただの一言。悪気は全くなく、ただ「送れ」と言われたから送っただけでした。

自分の部屋でいつものように一人で過ごしていたとき、「返信来てるかな…」とメールを開くと、父から返信が届いていました。

「敬語を使いなさい。親しき仲にも礼儀あり。
親子でも丁寧に書くこと。
社会人になったら、得意先にも同僚にも必ず必要になる。」

読んだ瞬間、正直イラッとしました(笑)
「なんで親に敬語?」と反発したくなりましたが、反論はしませんでした。

その日以来、父へのメールはずっと敬語。
約20年経った今も、父に送るメッセージは自然と敬語になります。

「親しき仲にも礼儀あり」の具体例

私たちは普段、気づかないうちに「礼儀」を示しています。
親しい人にこそ、意識して大切にしたい場面があります。

1)家族

  • 頼みごとをするときは “お願い” と “ありがとう” を伝える
  • 食事を作ってくれたら「ごちそうさま」を言葉にする
  • 親だから、パートナーだから、子どもだから…と甘えすぎない

家族は最も近い存在だからこそ、無礼が蓄積すると関係性に大きな溝が生まれがちです。

2)友人

  • 約束の時間を守る
  • 感情のはけ口にしない
  • 「言っていいこと・悪いこと」の線を越えない

友人関係は、礼儀があるからこそ長持ちします。
“仲が良いから許される”と思っているのは、自分だけのこともあります。

3)同僚

  • 仲が良くても最低限の敬語は維持する
  • 相手の忙しさを察して声をかける
  • 仕事で助けてもらったら、必ず感謝を言葉にする

同僚との距離感調整は難しいですが、礼儀を忘れなければトラブルはほぼ防げます。

この言葉を私は大切にしている

社会人になってから、「親しき仲にも礼儀あり」という言葉は本当に役に立ちました。

私が入社した会社は創業50年以上。昭和気質と縦社会の空気が色濃く残る職場でした。言葉づかいや礼節が特に重んじられる環境です。

そんな中で父から叩き込まれたこの言葉が身体に染みついていたおかげで、先輩・上司・役員の方々と良い関係を築けました。
「礼儀正しい」というだけで、相手に不快感を与えず、距離が縮まりやすいんです。きっと。

決して作った偽善的な礼儀ではなく、相手が時間を割いて自分のために動いてくれたとき、私は必ず「ありがとう」を伝えます。直後に伝えられなくても、翌日の朝には必ず伝えます。外食でご馳走になったときは、帰り際にお礼のメールやLINEを入れます。

後輩との関係も同じです。年齢差が開くほど会話に多少ぎこちなさはあるものの(笑)、相手が自分のために動いてくれたとき、感謝を丁寧に伝えるだけで信頼関係は自然と育っていきます。

「やってくれてありがとう」
「忙しいのに手伝ってくれて助かったよ」

礼儀は、相手を尊重する一番分かりやすいサインです。

また、お客様との関係性も大事です。
私が担当した得意先では、プライベートなことまで話せるような関係性を築けたと感じています。

商談中に雨が降り出し、帰る際に得意先の事務の方が透明のビニール傘を貸してくれたことがありました。数日後、傘を返しに行こうと思い立ち、得意先へ向かいました。その際、借りた物を返すのではなく、新品のビニール傘を購入して返しました。傘を貸してくれたことだけでなく、普段の感謝を伝えたかったからです。

得意先の方は驚いた表情を浮かべつつ、傘を受け取ってくれました。
この瞬間も、得意先との信頼関係を築ける良い機会になったと感じています。

まとめ

「親しき仲にも礼儀あり」。
この言葉は、父が私に渡してくれた“人生の武器”です。
近しい相手にこそ丁寧に接する――
それだけで、人間関係は驚くほど滑らかになります。

この言葉のおかげで、私は数えきれないほどの良いご縁に恵まれました。
これからも家族・友人・同僚…どんな相手にも、
敬意と、自分の気持ちを大切にしながら向き合っていきたいと思います。

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ココロの人

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